副業と就業規則を考える

目安時間:約 9分

はじめに

 

この記事では、

 
就業規則によると、副業は許可制か届出制だよね。
 
でもバカ正直に届け出なくていいんじゃない?

という話をします。

 

<就業規則では副業はこう定められている>

 

厚生労働省の「モデル就業規則(旧)」では、副業は会社の了承が必要となっていました。
私の勤務先の就業規則も、2018年現在、ほぼ同じ内容です。

(遵守事項)
第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。
⑥許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

(懲戒の事由)
第64条 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
⑤第11条、第12条、第13条、第14条、第15条に違反したとき。

 

この「モデル就業規則」は、2018年に変わっています。

なので、私の勤務先のも変わるかも知れません。

 

2018年版「モデル就業規則」の第67条(下記)では、副業は事前届出制で、さらに会社による制限が可能になっています。

(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏洩する場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合

事前許可制からが届出制に変わりましたが、会社に拒否権があります。

会社のスタンスが変わったように見えて、実際の運用は以前と同じですね。

 

規則を作る側の偏見

ちなみに、厚生労働省のモデル就業規則には、副業・兼業に関する裁判例が掲載されています。

小川建設事件(東京地決昭和57年11月19日)
毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とした事案。

この裁判例の記載がイヤラシイですね。「社会通念」という便利な言葉の裏に、キャバレーという職業への偏見を感じます。

キャバレーに飲みに行くのはいいけど、飲ませる方の水商売は許さんぞ、と。

早朝のジョギングはいいけど、夜はさっさと寝ろ、と。

 

こういう考えの人達は、きっとインターネットビジネスに対しても偏見がありそう。

「社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高い」という理由で解雇されそうな気がします。

こんな偏見の土俵にのって不毛な議論をするより、はじめから副業を届け出ないほうがいい。

 

就業規則は守らないといけないのか

 

就業規則は単なる契約です。労働契約の一部です。違反しても刑事罰はありません。

私の立場は、ルールを守るか守らないかは、結果責任を自覚した上で個人の自由意思によるべき。

私的な契約だろうが、公的な法律だろうが、同じです。

だから、ルールに従うか背くか、どちらが得策かを自分で考えて行動すればよい。

 

就業規則は会社を守るためにあるのです。

社員を守るものではありません。

私自身、会社側の立場で社内規定を整備したこともありますし、人事部門の経験もあるのでよくわかります。

就業規則は、労使紛争に備えて、会社を守るために会社が一方的に決めるものです。

 

就業規則通り副業を届け出た場合、メリットが全くない上に、デメリットしかありません。

会社にとってもデメリット、届け出た社員にとってもデメリット。

逆に、届け出ない場合は、ばれた場合に何らかのデメリットが発生する場合があります。

 

繰り返しますが、このブログでは、建前論ではなく、現実の話をします。

ルールは守るためにあるのではなく、使うためにあります。

 

自由に生きたいならルールを作る側になるのが一番です。

しかし、勤め人の道を選んだ以上は限界があります。

 

もし上記のようなモデル就業規則の下で働かなければいけない場合、ケース別の結果は以下のようになります。

 

届け出た場合

会社の管理者:対応が面倒
会社の同僚:和を乱す人への白い目
あなた:説明が面倒、マイナスのプレッシャーを受ける、副業を禁じられることも

届け出ない →後でばれた場合

会社の管理者:対応が面倒
会社の同僚:和を乱す人への白い目
あなた:気まずい、禁じられることも

届け出ない →ばれない場合

会社の管理者:影響なし
会社の同僚:影響なし
あなた:普通に副業ができる

 

起こりうる結果を含めて比較したら、わざわざ届け出る理由が見当たりません。

 

実は、この表の外には「副業をやらない」「会社やめて起業」という選択肢もあります。

でも、そんな奴隷の道は論外。
あとでばれた場合のリスクを自己責任で引き受ける覚悟をもって副業をやるしかないと思うのです。

 

ばれた場合のリスクといっても、勤め先への事前届出が事後届出になるだけのことです。
まともな会社であれば、単に「筋を通さなかったこと」を理由に処分はしません。

 

最後に

 

私が内緒で副業をする目的の一つは、「職場の和や秩序を乱さないように」するためです。

カミングアウトにはデメリットしかないので。

 

それでもばれたなら、勤務先に

 
事前に届け出てなくて、すいません。

で、何か会社に迷惑かけましたか?

処分を受けるほどの損害を会社に与えましたか?


と聞くだけです。

 

それでも処分を受けるような会社であれば、なおさら内緒で副業に精を出し、いつでも退職できるように備えておくべきですな。

もちろん、会社の秘密を漏洩するような記事は書かないということは当然、という前提ですよ。


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